無防備

君は、瞬間、無防備な言葉を発する。

不意をつかれてこぼれ落ちる宝石。

当たり前に降り注ぐ水しぶきの中の虹。

そこに吸い込まれるわたしは、何処へ向かう。

その時の君の言葉は、あまりにもほんとうで、わたしは、たじろいてしまう。

なぜならわたしは、

君のように言葉を、

発することを、

とうの昔に、失ってしまったから。

今の私の口から発する言葉は、全て作り物、ありきたりのもの、借り物。

 

だから君の生きた言葉に、私が覚えるのはいつも、恐怖、憧れ、引力。

私もいつか喋れるだろうか、君のように…