アッシュの言葉が
今ならとても理解できる。バナナフィッシュのアッシュの言葉が。
エイジといることで、暖かさが自分の心を満たしていく感覚になるということが。
自分の冷たい心を恥ずかしく思うということが。
最後はエイジのためにもう、会わない。あいつにとっては俺は疫病神だ。思っているだけでいい、それは自由なはずだから、と決意することも。
私も、もう、彼には会わないだろう。
それが正しいことだから。
そういえば、私も心も、何処かがずっと冷たくなっていて、それに気が付かないようにあれこれして生きていた。
彼に出会うまでは、自分にそういう部分があったことも、忘れていた。
彼に会って、心がじんわりととてもとても、解けるように暖かくなる瞬間があった。
その時だ。自分が暖かさに飢えていたことを知ったのは。
ずっと強がって生きていた。
周りの期待に応えることをしないと必要とされないと思っていた。
彼には全くそういうつもりはなかったのだと思う。私を癒やそうとかそういうことは。
ただ、彼のそういう一面に出会った時、私の求めていたものに出会えたのだと思う。
彼の笑顔。やっと笑ったね、という言葉とともにあった。
きっと彼は、自分の大切な人にそういうふうに接するのだろうな、と思った。
その風景を想像すると心が温まった。
私もそんな風な家庭で愛されたかったと思った。
それはもう、叶わない願いだけれど、彼はそういう時間もこの世の中には確かにあるのだと、教えてくれた。
私もこれからそういう温かさとともに生きていけるような時間を出来るだけたくさん過ごしたい。
そうすると、今よりずっと安心できるはず。
今までありがとう。
君の幸せを祈るし、私も幸せになる。